今年度の活動と来年度に向けて

はしがき

 iGEM ・Syntetic biology(合成生物学)Advent Calender 2020 4日目の記事となります。iGEMの紹介、出場チームのメンバー、アンバサダーの記事に続き、今回はiGEM 2020に出場「しなかった」チームメンバーである私から、所属する岐阜チームは今年こんなことやっていましたという報告と来年に向けての現状どうしているかを記事にしました。

 

 

チームの紹介

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 始めに簡単にチームの紹介をさせていただきます。我々iGEM GIFUは現在、1年生4名、2年生3名、3年生4名の計11名で活動しています。さらに、アドバイザーの先輩方が3名(M2が2名、D3が1名)、PIの教授が2名ついており、実験室等はPIである岩橋教授の設備を借りて実験を行っています。

 iGEM GIFUは2014年に発足し、昨年の2019年までは毎年Giant Jamboreeに参加していました。現状、日本での最古参チームがTokyo Techさんになると思うので、日本チームの中で比べるとは割と長くやっているチームになると思います。

 

 

今年の活動について

 今年度は早い段階からGaint Jamboreeがオンラインで開催されることが決定していました。当初は幣チームも出場する予定でしたが、プロジェクトの評価基準となるMedal Criteriaの大幅改定や現地での開催と同等のチーム登録費(別にHQに文句があるわけではないんですが...)を受け、チーム内で参加するべきかどうか議論になりました。

 

 早稲田さんの提案で日本チームから人を集めて合同チームを作るといった動きもありましたが(その節は大変お世話になりましたm(_ _)m)、結局、岐阜チームは今年度出場しないとの決断をしました。 

 

 

 

 今年の幣チームの活動は主に以下の3点をでした。

 

 

  • 来年度のプロジェクトの考案

  • 新入生の勧誘と教育

  • スポンサー企業の探索

 

 

 

 プロジェクトについては当初、アプタマーを用いたバイオセンサーの構築をテーマに掲げていました。アプタマーとは自身の立体構造により、標的と結合することが可能な短鎖のDNA、RNAあるいはペプチドのことです。幣チームではssDNAのアプタマーをSELEX法(Systematic Evolution of Ligand by EXponential enrichment)によって選抜し、バイオセンサーを設計しようと考えていました。これに先立って、アプラマーを専門としている高麗大学のGu教授からアドバイスをいただき、本格的にプロジェクトとして進める予定でした。

 しかし、SELEX法による選抜が数か月掛かること、更にはアプタマー以外にも簡便に利用できるバイオセンサーのツールが存在したことからアプタマーのセレクションは断念しました。

 

 

 

 

 

来年度にむけて

 現在は、ヒトヘルペスウイルス(HHV-6)の検出を利用したストレスメーターの設計、または真珠マトリックスタンパク質のクローニングと人工結晶の合成をテーマに設定しようと考えています。

 

 特に前者のバイオセンサーはアプタマーを利用する代わりにToehold switch(Green et al. 2014)やSARS-Cov-2の検出などにも利用可能なSHERLOCK(Specific High Sensitivity Enzymatic Reporter UnLOCKing) (Broughton et al. 2020)といったシステムを用いてバイオセンサーを設計できないか模索中です。
 一方で、バイオセンサーの設計という分野はiGEMにおいては定番中の定番であり、新規性を持たせることが難しいと感じます。近年バイオセンサー関連で表彰を受けているチームはハードウェアやソフトウェアの開発などで評価されていることが多く、バイオセンサーの根幹となるパーツの仕組みは数年前と大きく変わっていません。従って、Gold Medalやそれ以上の賞を目指すとなるとハードウェアやソフトウェアを開発するか、これまでにないパーツを組むかのどちらかになると思います。現状の案では新規性は皆無なので、ここにどうやってオリジナリティを加えていくかが最大の問題となっています。

 

 新入生の育成やスポンサー企業の探索についてもまだまだ改善の余地があると考えています。特に、スポンサーについては今のままでは企業側にほとんど利が無いため、学生側から企業へのリターンとして何ができるのかを熟慮すべきかと思います。

 

 

最後に

 今年参加されたチームの皆さん本当にお疲れ様でした。来年度はよろしくお願いします!

 

参考文献

Alexander A. Green et al. "Toehold Switches: De-Novo-Designed Regulators of Gene
Expression" Cell, vol159, Issue 4, 2014 925-239

James P. Broughton et al. "CRISPR–Cas12-based detection of SARS-CoV-2",  Nature Biotechnology, vol 38, 2020 870-874